それからは、ずっと機会をうかがっていました。
明確な日付は覚えていないのですが、ある日家族が誰も家にいない時間ができました。
その時、「今だ」と声が聞こえたような気がして、自然とひもを手に取っていました。
その時選んだひもは、太い縄でもコードでもなく、直径1センチほどのどことなく弱弱しい紐でした。
本気で死ぬつもりがなかったのか、怖かったのか、はたまたそれしかなかったのか今ではもう思い出せません。
ぼんやりと、その弱弱しいロープをロフトベッドに引っ掛けて、さあいざ足を離そうと思ったその時、弟が帰って来ました。
はっとなって、慌ててロープを外し、何事もなかったかのように椅子に座りました。
急ぎすぎて外すときに首をひっかいてしまいましたが、誰にもばれることなく傷は癒えました。
なんとも間の抜けたおちですが、偶然弟が帰ってきたことで今も私は生きています。
その日の晩、私に生きてと言ってくれた友達の夢を見て、死んではいけなかったと思いだしました。
今は、同じことを繰り返さないよう、机の前に「死んではいけない」と貼ってあります。
一つおまけのお話をすると、私はこの時本当に自殺をしてしまうんじゃないかと思って、阻止するには入院か…?と考えていました。
それを知恵袋で相談したのですが、なんと驚いたことに母がそれを偶然見つけて家族で共有していたそうです。
それ以降、私がなかなか一人で家にいることがなかったのは、母の根回しのおかげだったんだと後で知り、恥ずかしい気持ちとありがたい気持ちで複雑でした…。
ちゃんとこの紙は今でも貼ってあります。戒めのために、ずっと貼っておくつもりです。
続きます。
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